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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


梅雨明けと高温手当

今週水曜日、7月20日に上海市の梅雨明けが発表されました。6月19日に梅雨入りし、31日間にわたって続いた上海の梅雨期間は、平年(23日間)より長く、平年値を超える雨量が記録されました。梅雨が長期にわたった原因としては、@7月に入ってから、副熱帯低気圧と降雨帯が長江流域から淮河の間を南北に行き来していたこと、A7月3日に発生した台風第1号(Nepartak)によって梅雨前線の働きが活発になったこと、この2つの原因が挙げられています。

さて、本格的な夏に突入するこの時期になると頻繁に話題に上るのが、「高温手当」という制度です。中国政府が労働者を酷暑から守るために各企業に支給を義務付けているものです。上海市では、今年5月23日に『上海市夏季高温手当に関する通知』を発表し、従来の制度が修正されました。高温手当に関する規定は国家規定の範囲内で、地方条例で運用が定められているため、地域によって運用が異なります。上海市の通知は以下の通りです。

  • 支給期間-6月〜9月
  • 支給対象-屋外及び労働環境を33度未満に調整できない労働環境で働く労働者(33度を含まない)
  • 支給標準額-200元/月

従来の通達にあった、「高温(35℃以上)天気の日」という文言が削除されたため、今年6月のように最高気温が33℃であった場合でも、高温手当を対象者に支給しなければなりません。判断基準が不明確だった事項が明確になり、気温の高低に関わらず、「屋外労働かどうか」、「労働環境が33℃未満に調整できるかどうか」が判断基準となります。このように支払われる高温手当は、賃金総額に含まれるということも明確に示されました。社会保険基数や経済補償金基数に含まれ、所得税課税対象とみなされます。また、対象労働者の雇用企業は高温手当の支給に加えて、良好な労働環境創出のために清涼飲料水の提供などを継続する必要があります。
労働環境については、上述以外に、製造現場などでは高温環境とそうでない職場が混在している企業が多数存在します。冷房完備の管理部を含め、社内一律で高温手当を支給する企業もありますが、それでも高温環境にある労働者から不満の声があがります。一見、高温環境と判断されがちな外回りの営業職は、法的には高温手当の支給対象外のため、こちらからも不満の声があがります。このような判断が難しい職場の場合、企業は実状に合わせて、賃金集団協議や民主プロセス(告知→意見収集→公示)を経て、合理的に支給方法を決定することも本通知により規定化されました。

上海市の発表によると、梅雨明けから5〜7日は高温日が続くと予想されており、最高気温は37〜38℃まで上昇するといわています。日差しが一段と強くなりそうですので、屋外で作業される方も、そうでない方も、どうぞお気を付けください。                                              (M.N)
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