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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


上海の災害対策


 4月14日夜、熊本県を中心とした地域をM6.5の地震が襲い、2日後にはM7.3の強い地震が発生しました。この原稿を執筆している現在も余震が続き、予断を許さない状況が続いています。被災地の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

筆者が滞在する上海では、ほとんど地震が起きないと言われています。しかし、上海市地震局HPの記録によると、1984年に東南海エリアで発生したM6.2の地震では、上海市内で間接的に3人が亡くなっており、建物の損壊もあったといいます。また、1996年に長江沖合いで発生したM6.1の地震では、東方明珠テレビ塔の避雷針3本が脱落するほか、めったにない事態にパニックに陥った人も少なくなかったようです。このような記録があるにもかかわらず、上海市には、地震の建築基準を満たしていない建築物が多く存在し、市民自身も地震に対する意識が低いのです。日本のように地震災害が日常的な脅威として考えられていないのでしょう。

そんな上海市ですが、2008年の四川大地震を契機として、地震を中心とする防災対策を急ピッチで進めるようになりました。中国政府が国をあげて防災の強化に乗り出し、国務省が中心となって、国から省、省から県、件から市へと防災指導が行われるようになったのです。
 具体的には、上海市内各地に緊急避難所を設け、それぞれに「指揮所」や「テント設置地区」、「物資提供場所」、「給水場所」、「医療提供場所」、「トイレ設置場所」などを配置しています。緊急避難所のひとつである上海市内のとある学校では、40万ワットの緊急発電機が設置され、深さ300mの井戸からは飲用基準に達した水が毎日80トン揚水されるといいます。2015年3月時点で、上海市内には計30箇所の緊急避難所が設けられており、20万人収容できるとされています。この年には、さらに19箇所が追加され、2020年までには、それぞれの町内に緊急避難所を設置し、全ての市民が短時間のうちに避難できるような計画となっているようです。

このほか、四川大地震が発生した9月12日を「全国防災減災日」とし、社会全体の防災意識を強め、自然災害による損失を最大限軽減するのに役立てる、としました。2016年は、5月9日から15日の期間を「防災減災週間として、消防博物館や気象、防震の関連施設などが開放され、防災・減災に関する様々な活動が全国各地で予定されています。

海外に滞在する日本人や、日本人を海外に派遣する日系企業が意識しておくべき大事なことがあります。日本では、地震に限らず「困ったときはお互い様」といわれますが、その気持ちを共有できない場所で、万が一の事態が起こった場合、どれくらいの助けの手が差し伸べられるかということです。東日本大震災の時も、被災者が秩序立って行動している姿に諸外国から称賛の声が上がりましたが、裏を返すと、そのような反応をした諸外国では考えられない行動である、とも言えます。海外に滞在する個人も、社員を海外に派遣する企業も、万が一の時の対策を意識しておく必要があるでしょう。

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