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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


政府系越境ECサイトへの期待

 先日、上海を拠点としている政府系越境ECの「跨境通(http://www.kjt.com/)」に出展している貿易会社を訪問し、跨境通について同社の董事長にお話を伺いました。同社は、北外灘の上海国際フェリーターミナルに「跨境通体験区」と名づけた販売商品の展示場も運営しています。実際、見学してみると、閑散としたところだったので、正直なところ、こんな場所にぷらっと人が立ち寄るのだろうかと思いました。が、董事長によれば、もともとこのエリアは上海の中心部で、外灘(バンド)という人気観光地でもあるが、現在はこのエリア一帯の改修工事中なので人が少ない、と。来年5月には工事も完了するし、まもなく「跨境通体験区」の上階に飲食店や小売店舗などのテナントがオープンするので、今後は人の往来が増えていくはず、と自信に満ちた様子で、跨境通体験区を案内してくれました。

 さて、一口にECといっても、そのビジネスモデルは様々です。現在、中国で利用されている越境ECサイトは、一般的に以下の3つに分類できます。そして、最近特に注目されているのが、上記のとおり、今回訪問した企業も出展している政府系越境ECサイト(下記B)です。

 @海外の通販サイト(例:アマゾン、eBay、BOPTOPSHOP、楽天市場など)
 A国内EC企業が運営する輸入品販売サイト(例:Tモールグローバル)
 B政府・税関と連携した輸入品販売サイト(例:上海(跨境通)、寧波(跨境購)など)

 
 越境ECビジネスの配送方法には、海外からの直送方式と中国国内保税倉庫から輸入方式の2通りありますが、上記Bの政府系越境ECサイトでは後者の方式が採用されています。以下では、各方式のメリットとデメリットをまとめています。
 海外の通販サイトで中国向け販売を行っている企業は別として、現時点で中国国内の政府系・民間系の越境ECサイトに出店・出品している企業は、大半が大手企業や有名ブランドです。その原因としては、Tモールグローバルの場合、保証金や費用・手数料が高いので出店のハードルが高いためです。そして、政府系越境ECサイトの場合、まだ政府にとっても試行段階であり、宣伝PRもあまりされていないため他の民間越境ECサイトに比べ知名度が低い上、出展企業や販売商品も既に知名度や人気のあるところに限られているため販売アイテム数少ないためかと思います。

 

海外からの直送方式

中国国内保税区倉庫からの
輸入方式(上記B)

取扱い商品

・商品数が豊富。

・中国での販売許可取得が不要。(たばこ・酒・薬品は除く)。

・目下、商品数が少ない。

配送時間

・海外からの配送のため時間がかかる。日本から上海の場合、10日前後。
海外から中国国内保税倉庫にコンテナ便などで輸送し、消費者からの注文があり次第、保税倉庫から消費者に配送する。そのため、消費者は注文から数日で受け取り可能。

商品価格

・海外からの配送のため、物流コストが高い。

・サイトによっては、出店条件や費用が高いことも。

海外から中国保税区まではコンテナ便で配送されることが多く、物流コストが抑えられる。

 

メリット
デメリット

・中国現地での法人や倉庫、人材の雇用が不要。

・購入した量や額が多いと、場合によっては、税関に個人輸入とみなされず一般貿易として課税されるリスクも。

・一回の購入金額は1000元まで。

・政府が立ち上げたプラットフォームなので、左記のような課税リスクなし。

 しかしながら、昨年から貿易会社や卸・小売業者を中心に、越境ECサイトに出店する企業が増えていると同時に、メーカーへの出品誘致も加速させています。越境ECサイトでの販売は、一般貿易での輸出販売と比べて、一部の商品を除き販売許可を必要としていないことや、課税面で優遇されているため、今後は日本国内での「爆買い」と並んで、中国販路拡大のチャンスが期待できる市場として、引き続き今後の動向に注目です。



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