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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国の宝くじ事情


 昨年11月10日に抽選が行われた中国の宝くじ「双色球」において、広東省で当選した計2口の当選者が換金最終日(抽選から60日)まで現れなかったというニュースを見つけました。一等の当選金額は1口約782万元(約1億4千万円)でしたが、当時はちょうど総額6億元の当選金上乗せキャンペーン期間だったため、それぞれ500万元(約8900万円)が上乗せされ、1口あたりの当選額は約1282万元(2億3千万円)にまで達していたというものでした。
 中国で宝くじは「福利彩票」、もしくは「彩票」と呼ばれ、数字選択式やスクラッチ式があります。今回の「双色球」は数字選択式の宝くじで、1口2元(約36円)で最高500万元まで当たる仕組みとなっています。

そんな折、中国における2015年通年の宝くじ発売総額が2015億1100万元(約3兆6千億円)だったと発表されました。日本での宝くじ年間売上高は9千億円規模なので、3倍以上の金額となります。これによる収益金は約564億元(約1兆67億円)で、2011〜15年間の収益金は累計で約2488億元(4兆4千億円)に達したといいます。上海市では、市民1人当たりの宝くじ年間平均購入額が352元に上ることからも大勢の人が宝くじを購入していることが分かります。
 中国では、中央政府と地方政府が「福利彩票」の収益を折半します。中央政府は社会保障や福祉事業の予算に組み入れ、地方政府は高齢者、身体障害者、孤児、貧困者の支援事業に使うなど、いずれも全額を福祉目的で使うと定められています。

しかし、2015年3月に開催された全国人民代表大会では、2014年の宝くじ収益による資金658億元のうち、169億元の使用目的が不明であると指摘され、地方政府官僚らの不正問題が発覚しました。具体的には、別の経費の補填に使ったり、虚偽のプロジェクトの申告によって着服したり、違法な公用車購入や出張、研修旅行などの名目の海外旅行に流用していたといいます。また、違法なインターネットによる宝くじ販売を行って630億元の売上を上げていたことも判明しています。一部は回収されたそうですが、官僚の処罰についてはうやむやになっている報道も多く、国民は不満を募らせており、党指導部が強化する取り締まりが引き続き見守られることになるでしょう。

 とはいえ、ギャンブルが違法とされる中国において、社会福祉やスポーツ振興を目的とした公営宝くじは認められており、庶民のささやかな楽しみの一つとして高い人気を誇っています。小額から挑戦できますので、興味がある方は中国を訪れる際に購入してみてはいかがですか。


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