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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国の教育事情


2016年になり、受験生にとっては大詰めの時期となりました。今週末の16日と17日は大学入試センター試験ということで、つい自分の受験時代を思い出してしまいます。受験にも大きく関わる家庭の教育費などについて、日本と中国の比較をしてみました。
 2014年度に文部科学省が行った学習費調査によると、小学校から高校まで公立学校に通った場合、塾や習い事などの学校外活動費を含め学習費の総額は約460万円、小学校から高校まですべて私立学校に通った場合、約1621万円になります。世帯の教育費負担について、2012年度に実施した「国の教育ローン」を利用した世帯へのアンケートによると、家庭の年収のほぼ4割が教育費になっているといいます。
 一方、2012年の中国都市部における家庭の教育費は世帯収入の3割を占めており、この割合が年平均で20%ずつ増加しています。中国都市部の2012年可処分収入は2万4565元と発表されており、これに基づけば、年間およそ7400元を教育にあてていることとなります。2015年に発表した中国最大の教育サイト「中国教育在線」の教育費に関するアンケートによると、50%の家庭では毎年5000元以上を教育費として支出しています。経済発展に伴い、教育費が収入に占める割合が増加すると結論づけられていますが、全くその通りだと思います。

 日本では学歴社会という言葉が多く叫ばれた時代もありましたが、中国では今まさに学歴社会と言われています。日本での高校進学率は高度経済成長期に増加、1970年代には9割以上となっています。大学進学率は1950年代には1割でしたが、1970年代半ばには38.6%にまで達し、第一次のピークとなりました。その後何度かピークが訪れましたが、2010年には56.8%となっています。
 中国での高校進学率は2001年には52.9%だったのが、2010年には87.5%まで増加。大学進学率は2010年には26.5%までに到達しています。中国の進学率は政府の国民教育水準の引き上げの結果とも言えますが、日本が高度経済成長期に進学率が伸びたように、経済的な豊かさが十分に影響していると考えられます。

学校外活動に含まれる補助学習は、日本では対面式で行う塾や家庭教師などが主流の一方で、タブレットなどを利用した通信教育も多くなっています。周囲のご家庭でも、タブレットを利用しているというお子さんもいて、自分のこども時代とは大きく様変わりします。中国での補助学習について、先に紹介している中国教育在線のアンケートでは、従来の対面式教授法は回答者の27.95%が利用、インターネットによる教授法は24.2%、両方どちらも利用しているという回答者は47.81%となっています。それぞれの補助学習を選んだ理由としては、教育の質を重視して選んだ回答者が50%近くにも上っており、ブランド力や口コミによる選択は21.25%という結果となっています。

補助学習のサービスや商品が多数あるのにも関わらず、親子間の学習への意識や意欲は相交わらないこともあるのではないでしょうか。私自身、低学年の頃「なぜ勉強するのか、なぜ勉強させられているのか」など明確な答えを持たないまま、過ごしました。学校以外での学習について、親とこどもが話し合いを持てる家庭環境を作ることが第一ではないかと感じながら、実はこどもとワークブックに向き合う毎日です。

一人っ子政策が廃止となった今、教育にかかる費用はもとより、家族の在り方がどのように変化していくのでしょうか。またその変化によって、新しいビジネスチャンスが生まれることは確かです。


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