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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国の売れ筋商品に見る、日中間ニーズの違い


 上海ではこの度、スマートブレスレット型の交通カードが発売されました。交通カードは日本の「Suica」等と同様のICプリペイドカードで、バス、地下鉄、タクシー、フェリー、リニアモーターカー、市内高速料金所、一部のガソリンスタンドや駐車場等で利用することができます。1999年のスタートからこれまでに5500万枚が発行されています。

 今回発売されたスマートブレスレット型は、通常の交通カードとしての機能に加え、携帯電話のアプリケーションと連携したオンラインチャージが可能なほか、「心拍数計測」、「活動量・睡眠状況の自動記録」等、ウェアラブル端末ならではの様々な機能を備えています。
 他にも、「軽量」「防水」「マグネット式充電」等のセールスポイントがありますが、筆者が「これは中国ならではのアピールポイントだな」と注目したのは、「電磁波なし」という点です。中国では、日常生活で受ける電磁波が健康へ及ぼす害を気にする人が多く、例えばマタニティウェアではエプロンのようなデザインの「電磁波防護服」が定番であり、家電製品の宣伝には「電磁波なし」の言葉が頻繁に登場します。

 こうした中国ならではのニーズに着目すると、中国市場の新たな可能性が見えてくるかもしれません。
 例えば、筆者は最近トースターを購入しようとしたのですが、中国で主流の商品が日本の一般的な商品ラインナップとあまりに異なるのに驚きました。
 日本では、トースターのサイズを示すのに、「トースト何枚分」という説明が一般的で、「トースト4枚対応」のような大きなものでは、寸法が幅34cm、奥行30cm、高さ22cm程度となっています。対する中国では、トースターのサイズを体積である「何L(リットル)」で表し、その大きさを説明するためには、「手羽先」「エッグタルト」「茄子」「とうもろこし」が何個、という言い方をします。
 売れ筋のトースターの大きさは30L〜40Lのビッグサイズです。上述の「トースト4枚対応」の商品が約22Lですのでその大きさの違いが分かると思いますが、日本のトースターと何より違うのは背が高いという点です。これはトースターで鶏の丸焼きを作るというニーズがあるためで、丸焼き専用の360度回転するアームがついた背の高い商品が多く揃っています。

 思いがけないニーズを捉えて、日本製品が販売実績を上げた例もあります。上海高島屋百貨では、日本直輸入の「鉄製・中華鍋」の売行きが好調とのことです。なぜわざわざ中国人が日本製の「中華」鍋を買うのかというと、中国でも最近テフロンコート仕様の鍋が増えており、いわゆる「鉄鍋」については廉価で品質の良くないものしか出回っていないそうです。しかし、昔ながらの「鉄鍋」を使いたいという人も実は少なくなく、そうした人々が日本製の「鉄製・中華鍋」に飛びついた、というわけです。

 巨大な中国市場、様々な角度から顧客ニーズを調査してビジネスチャンスを掴みたいものです。


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