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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


オンラインショッピングの成長に見るリアル店舗の現状


 ここ2回のサマリーで、ネット通販市場について取り上げました。2014年に12兆3,000億元(約237兆3,390億円)にまで成長し、最近ではアリババが「独身の日(11月11日)」商戦で、1日で912億元(約1兆7,000億円)の売上を達成するなど、ネット通販市場はますますの盛り上がりをみせています。その反面で、従来型実店舗の先行きについて悲観的な見方をする識者が多く存在します。しかし、中国商務省の統計によると、2014年のショッピングモール売上高も前年比で7.7%増えており、スーパーや百貨店でもそれぞれ5.5%、4.1%の増加を見せているのです。経済成長率の鈍化が叫ばれながら、ネット通販と実店舗販売の両方に成長が見られるのはなぜでしょうか。

 より多くの可処分所得と余暇を手に入れた中国人にとって、ショッピングモールなどの娯楽施設が日常的な交流の場となっているのです。公園やスポーツジム、その他の活動に使えるような共有スペースがない地域や、狭い家に数世代が一緒に住む家庭では、人々が外出を楽しみ、余暇を過ごす場所として、これらの娯楽施設が大きな存在となっています。コンサルティング会社マッキンゼーの中国消費者動向調査によると、回答者の73%がショッピングをレジャーとしてとらえており、また約半数が「家族と共に時間を過ごす最良の方法の一つ」としています。
 日常の買物をオンラインで済まして、娯楽や社会的な活動にはショッピングモールを利用することによって、両市場における成長が見られるのです。

 中国のシッピングモールにおいては、飲食店の占める割合がとても大きく、フロア面積の30〜40%が飲食スペースです。中国の不動産大手大連万達グループが展開する万達広場では、小売スペース全体の40%〜50%を人々の交流の場所として割り当てています。中国のショッピングモールは、住宅開発の一部として建設されることが多いために、飲食や娯楽のスペースが必然的に多くなると言われています。そのため、新しく開発されるプロジェクトでは、百貨店型よりもショッピングセンター型が多くなり、住宅、オフィス、商業施設などが同じ建物内に混在するようになっています。これにより、ショッピングモールの大型化が進み、ある調査によると、過去15年では40,000〜45,000uだった平均面積が、現在は90,000uと倍になっています。これは、他の国々の平均よりも少なくとも30%も大きく、中には200,000uを超えるものもあるようです。

 しかし、ショッピングモールの建設ラッシュで、空洞化に悩まされる店舗や、オープンして1年経ってもテナントが埋まらない店舗も存在します。空室率が下がらない理由に、ネット通販が拡大したことが挙げられていますが、最近は、ネット通販サイトと連動させたリアル店舗体験ショップを開設したり、逆にネット通販サイトとリアル店舗が業務提携を結んだりと、新たなプラットフォームが開発されています。
 今後は、『オンラインvsオフライン』として続いていくのか、『オンライン+オフライン』が主流になるのか、中国のネット市場に入っていく日本の企業も多い中で、目が離せません。



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