www.chinawork.co.jp
トップぺージ Book Store 経済の眼睛 業務案内

 

目次に戻る

  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


車とインターネット

 4月22日(水)から29日(水)の期間に開催される「上海モーターショー2015」に先駆けて、20日(月)報道陣に公開されました。日本でも大きく報道されていたので、目にした方も多いでしょう。
今年のテーマは『イノベーション・バージョンアップ』で、18の国と地域から約2,000のメーカーが参加します。自動車1,343台が展示され、うち109台は世界初、44台はアジア初の公開となります。世界一の自動車市場である中国は、昨年の新車販売台数が約2,350万台に達し、今年は2,500万台を越えると見込まれています。
 日本の報道では、主に日系メーカーの多くが中国現地で開発・生産した新型車を発表したことや、今後の主な購買層になる”一人っ子世代”向けに新型車が開発されていること、女性コンパニオンの起用が禁止された影響などが話題に上っていました。<開発段階から中国人の若い技術者らに任せることで、購買層の主力に育ちつつある若い世代アピールでき、将来にわたるファンを作り上げることができる。しかし、技術流出の恐れや人材育成の難しさといった指摘にどう対応していくか>など、中国自動車市場での戦略を中心に記事が構成されていました。
 一方、中国現地の報道では、毎年のように話題に上る「新エネルギー車」について、今回は過去最高の103台が展示されることに、<もはや新鮮味を感じられない>としていました。そんな中、今年のモーターショーでは自動車メーカーとIT企業とのコラボレーションが注目されています。上海汽車と中国Eコマース最大手のアリババグループが共同開発した「インターネット自動車」は、外観がSUV(スポーツ用多目的車)に似ていますが、普通のSUVより“知能”が備わっていて、自動運転ができるということで、来場者の視線を集めていました。上海GMも自動EVコンセプトカーを初公開し、そのスタイリッシュなデザインから各新聞紙上のトップを飾っていました。他にも、北京汽車と中国動画配信サービス大手の楽視網が業務提携を結ぶなど、中国の自動車メーカーが相次いで『インターネット自動車』事業に参入しています。

 モノのインターネット「Internet of Things」(IoT)を自動車分野に特化した「Internet of Vehicles」(IoV)が次世代市場を攻略するためのキーワードとして、中国の自動車業界でクローズアップされています。台湾のIT市場調査会社によれば、IoVの普及見通しについて、世界でIoVを搭載する車が2020年には75%に達するという見方を示しています。中国のIoT市場は、2014年通年で100億人民元(約1,900億円)にまで拡大し、普及率は10年の4%から7.5%に上昇しています。中国の自動車保有台数が1億台を大きく越える中で今後の成長も確実です。今年1月には、中国の検索エンジン大手の「百度」がIoV事業に参入し、ソリューションである「CarLife」計画を発表、アウディやヒュンダイ、上海GMが一同に会して、百度との戦略協力協議へ調印しました。「CarLife」では百度が得意とする地図情報やナビシステムをベースに、渋滞回避、リアルタイム駐車場検索、ハンドフリーでの音声操作などの機能が集約されるといいます。
 中国のとある記事には、80年代頃から電子機器メーカーと協業を開始し、ネットワークサービスの開発を始めていた日系自動車メーカーは、このIoV分野の先進国と論じるものもありました。「自動運転」に注目されがちな中国のIoV市場で、交通安全や交通渋滞の緩和、燃費向上などに活用されている日本の自動車向けネットワークサービスの需要増が期待されます。


目次に戻る  


Copyright© 2015 ChinaWork Co., Ltd. All Rights Reserved.