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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国市場への日本食品売り込みいろいろ


 毎年11月に、上海で開催される中国最大規模の食品展示会「FHC CHINA」。そこで、出展企業は国内企業のほか、アジア・欧米・南米・アフリカなど世界各国から集まる。今年もジェトロが「ジャパンパビリオン」を出展しており、その中に自治体がブースを設けた。ジェトロや自治体の補助金や支援サービスを受けられることもあり、食品関連及び飲食サービス関連の中小企業にとって、中国への販路開拓のきっかけ作りとして活用しやすい展示会だろう。今年は会期3日間で、来場者数が昨年よりも約60%伸び、約54,000人が訪れた。
 今回、ジャパンパビリオンに出展したのは約40社。そのほか、ジャパンパビリオンではなく、単独で出展している日本企業が約5社ほどであった。例えば、大塚食品鰍ェレトルトのボンカレーを、日本ハム鰍フ香港法人・日邦食品(香港)有限公司が日本や第三国からの輸入食品を出展していた。例年の実績によると、この展示会への来場者は半数が上海から、4割が上海以外の中国国内から、残りの1割が海外から訪れる。上海以外の中国各地のバイヤーと知り合うきっかけにもなるので、既に中国に進出済みの日系企業や日本食品を取り扱う中国貿易会社も出展している。
 昨年に比べて、ジャパンパビリオンの出展エリアが入場ゲートから遠くなり、良いとは言えない立地であったが、会期最終日の午後には周辺の南米諸国ブースでは閑散とした様子も見受けられた一方で、ジャパンパビリオンでは来場者が途切れず、中国における日本食品への関心の高さを感じた。全体の来場者数が増えたことも盛況の理由だろう。
 また、ある出展企業の興味深いエピソードがあった。同社は、素材にこだわった一切の添加物を加えない果物ゼリーを出展した。出展の途中で、ベビー用食品によいという声が上がり、「嬰児補食(赤ちゃんのための補助食品)」というキャッチコピーでPRしたところ、バイヤーや一般来場者が増え、その反応も上々だったらしい。やはり中国でのベビー関連商品への関心は高い。日本食品に対する中国での信頼や人気はあるものの、多くの企業が密集して展示しているイベントのような場においては、来場者に対して分かりやすく関心を引くようなキャッチコピーがいかに重要かを再認識させられる。

 さて、輸入販売のほか、中国の食品会社における技術指導のニーズもある。ただし、これを受入れ難い日本企業が大半だろう。そこで、ある日系企業が、上海市郊外にセントラルキッチンのある工場を設け、試作品や中国で調達可能な原料を用いたレシピ作りを行う事業を行っているようだ。 日本企業の技術やノウハウは直接中国側に伝えるのではなく、このセントラルキッチンで作成した中国でのレシピを元に、工場で半製品を製造し、その半製品を中国側に原料として販売するようだ。日本からの輸入に比べてコストが抑えられるのと、同社が中国側と日本メーカーの間に立つことで、技術・ノウハウの漏洩リスクを抑えられるメリットがあるとのこと。中国での試作品作成の費用は、1アイテム当たり5万円程度と低価格で、中小企業でも試しやすい価格設定にしている。

 日本での消費市場低迷、中国工場経営のコスト高とリスク増、そして昨今の円安傾向を背景に、日本から最も近い中国の巨大市場に対して、貿易、そして中国市場向けの委託製造という選択肢に益々注目が高まっている。



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