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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


「多次元カラーコードによる食品安全トレーサビリティシステム」始動


  近日、中国市場食品安全工作委員会の管轄下にある中食安食品科技服務有限公司(略称・中食安公司)が開発した「多次元カラーコードによる食品安全トレーサビリティシステム」が、内部での試運転を経て、正式に始動するとの報道がありました。
 最初の段階では、輸入粉ミルクの原産地及びその流通経路等、産業チェーン全体の各過程における情報のトレースに使用されます。
 中食安公司の責任者によると、今年3月を目処に輸入乳製品を対象に安全トレーサビリティシステムを始動し、4月以降は、34分類した食品を順次システム対象に組み込んでいく予定とのことです。輸入食品から着手し、中国国内食品へと対象を拡大していく計画で、2〜3年の間に34分類した国内外の食品(約10万800種類)を全てトレーサビリティシステムに載せ、情報データセンターと関連公 共サービスについても、それに応じて段階的に確立することを目指します。
 「多次元カラーコード」は、QRコードの次世代版ともいうべきもので、赤・青・緑・黒の4色を使用します。4色の「色の識別」で判別するという点で、従来の白黒の2次元バーコード(QRコード)とは異なる使用上の柔軟性を備えており、紙や布はもちろん、TV等の映像や屋外LEDといった多様な表示場所からのコード認識が可能なうえ、読み込み方法も容易です。従来のQRコードでは、高品質印刷を表示場所とし、接写方式で読み込む必要がありました。また、カラーコードは美的優位性も高く、美しいデザインは商品や企業のイメージアップにもつながります。

 中国の食品安全に関する問題はこれまでにも度々伝えられていますが、これまでは食品の安全に関わる情報そのものが不足しており、消費者の知る権利を満たせないほか、産業チェーンに関わる企業の責任所在が曖昧であったり、問題が起きた際にも原因を特定できない等、当局の監督も思うに任せない面が多々ありました。
 トレーサビリティシステムの導入には、消費者の知る権利を保証し、社会や市場を監督者に加えることで、これまでのあり方を一変させる意図があります。食品関連企業の安全保証に対する意欲を刺激し、業界全体の水準を引上げる狙いもあります。
 企業にとっては、大きな変革への対応が必要となる一方、自社商品の「安全」をPRし、商機を拡大するチャンスでもあります。

 同じく「食品安全」に関する動きとして、このほど、国家工商総局が「偽ブランド・低品質食品を生産・経営する違法行為に対する取締りを厳格化し、農村食品市場の管理監督をさらに強化することに関する通知」を公布し、4月から取組みが実施されます。
 主に、有名ブランドを模倣した偽商品や食品添加剤を濫用した商品、「生産者表示無し」「生産日時無し」「消費期限無し」「食品生産許可無し」「商品ラベル無し」の「“5”無し商品」の取扱いを取締ります。
 上海市の食品安全部門では、近日、「重大な違法行為により信用を失墜した食品生産・経営者および関連責任者」に関する「ブラックリスト」を発表しました。上海市は、「ホワイトリスト」の策定についても検討を進めていると明かしています。

 国家統計局の上海調査チームによる「上海市民の食品安全知識に関する認知度調査報告」によると、上海市民が懸念している食品安全問題のTOP3は「病死した家畜の肉」「食物中毒」「野菜の農薬残留」であるとのことです。また、9割の市民が食品の安全に高い関心を持っていると回答しており、管理監督を強化すべき過程として「生産・加工過程」「環境汚染の管理」「栽培・養殖過程」を挙げています。
 この調査報告では、市民は、関心の高まり・認知の高まりとともに、食品の安全監督に関する専門性も身につけているとしています。2013年、上海市の食品安全監督部門に寄せられたクレーム・通報は前年比57.4%増の68,212件で、そのうちの68%は通報通りであるという事実確認が取れたとのことです。

 上述の「食品安全トレーサビリティシステム」では、システムそのものの整備も一大事業ですが、それをとり巻く法整備や、食品安全に関する公教育の強化等、社会全体に及ぶ取組みが必要となります。市民の関心の高まりは、システムが監督機能を果たす上で不可欠であり、この調査報告から明らかにされた内容は、心強い限りです。



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