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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


PM2.5と「空気清浄機」「マスク」市場

  中国各地で大気汚染が深刻な状況が続いています。12月初頭には、それまで汚染レベルが比較的低かった上海でも2012年3月に空気質指数・AQIに基づく観測が開始されて以来、同市では初となる「厳重汚染レベル(6段階中の最高レベル)」に到達し、同6日には微小粒子状物質「PM2.5」の全市平均濃度が一時、600マイクログラム(1立方メートルあたり)を超過、午後6時までの24時間の平均濃度が同472マイクログラムとなり、日本で外出を控えるよう注意喚起する基準(同70マイクログラム)の6倍以上に達しました。外は濃霧と相まって視界が悪く、太陽が出ているのに日中でも薄暗いという様相を呈し、肉眼で「汚染」を目の当たりにしたことにより、上海ではこの時を境に、マスクをかけた人を多く見かけるようになりました。
 PM2.5によって、日常生活や健康が脅かされる一方で、一部の関連ビジネスが活気づいています。その代表が「空気清浄機」と「マスク」です。

 中国電子商務研究中心の統計によると、11月中旬以降のネットショッピングでの空気清浄機販売台数は前年同期比680%増になるとのことです。特に人気の製品はシャープ、フィリプス、パナソニック、ダイキン等の海外メーカーのもので、中でもシャープはハイエンド商品に高いシェアを占めています。日本の空気清浄機保有率は43.5%(2013年3月末、内閣府消費動向調査)ですが、中国の空気清浄機保有率は未だ0.1%に満たず、今後更なる保有数の拡大、市場の拡大が見込まれます。
大手ショッピングサイト・淘宝(タオバオ)ネットのデータによると、今年、同サイトにおける取引のうち、PM2.5対策商品に関する消費は8.7億元(約140億円)となり、そのうち、マスクを購入した人は前年比181%増でした。

 しかしマスクについては、PM2.5対応を唱っている商品であっても、効能が無い、または誇大広告である商品が多く存在していると警鐘を鳴らす専門家もいます。消費者が3M社のマスクを求めるのも、同様の危惧を抱え、信頼できる製品を購入したいがためといえるでしょう。3M社では米国防塵規格に基づいた商品を供給しており、中国でもPM2.5対応マスクとして一番に名前が挙がるほどの人気です。
 ただ、大変残念かつ恐ろしいことに、3M社マスクの偽物が横行しています。これまでに、300軒以上のネットショップで偽物を扱っているのが見つかった他、公安局の捜査により、複数の偽物製造拠点が取り押さえられています。3M社の鑑定によると、これら偽物は防じん効果が無いばかりか、素材も粗悪で健康を害するものだということです。
 日本では同じようにマスク市場が活況といっても、高い防じん効果、快適な装着感、ユニークな訴求ポイントを追求し、より良い製品が次々に生み出されています。中国では2008年のメラミン汚染粉ミルク事件以降も、不特定多数の人々の健康に害を与える、商売では許されない犯罪が幾度も繰り返されています。日本でも最近、ホテルの食材偽装問題が取り沙汰されていますが、商売における良心というものでは、日本がリードしていってほしいものですし、中国も早く変わってほしいものです。
 今ひとつ、空気清浄機やマスクには、PM2.5対応製品として判断するための国家強制標準規格が未だ整備されていない点も問題です。大気汚染は簡単には治まりそうもありません。ネットショッピングでは「ルームランナー」も人気だそうです。


 
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