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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国初「観光法」の影響

 今年4月、中国初の観光に関する総合的な法律となる、「観光法/旅行法(中国語では旅遊法)」が成立し、10月1日から施行されました。附則を含めて112条から成り、観光客の権利を守るための諸規定に加えて、国や地方政府の観光振興などへの義務、「観光発展計画」の策定などといった、旅行業に限らない規定も盛り込まれています。
 この法律の中で最も注目され、今後の観光ツアーに大きな影響をもたらすのが、第35条です。

第35条    旅行会社は、不合理な低価格で観光活動を組んだり、観光客を勧誘したりしてはならない。 また、買い物の手配やオプショナルツアーの催行にあたって、リベート等の不当な利益を得てはならない。(一部抜粋)

 これまで、旅行会社がツアーを安売りし、観光客を各種販売店で強制的に買い物をさせて店から仲介料を受け取る、といった事や、現地で強制的にオプショナルツアーに参加させて料金を徴収する、といった事が行われていましたが、これらが全て禁じられています。このようなリベートで安売りした分の損失を補っていた旅行社は、大きな影響を受け、中国国内の低価格ツアーが減少しています。黄山などで有名な安徽省の観光地では、20ヵ所中13ヵ所の土産物店が閉店し、ガイドの収入減も顕著な問題となっています。地元では、危機に直面している土産物店をレストランに改造したり、ガイドの基本給改善を検討するなど、対応に追われています。

 そして、その影響は中国国内だけに留まらず、海外、特に東南アジアや韓国へのツアーにまでも波及しています。これまでは現地の土産物店などから多額のリベートがあったために、低価格に設定できていたのに、「観光法」が施行されると、これらの地域へのツアーが大幅に値上がりしてしまう恐れがあるからです。事実、韓国の大手旅行社によると、10月は長期休暇となる「国慶節(10月1日)」が含まれているにもかかわらず、8月や9月の観光客数の半分にも届いていないといいます。
 逆に、日本へのツアーは、もともとリベートが入っているものが少ないことから、価格の上昇は抑えられる見込みで、東南アジアや韓国から観光客が流れてくる、という見方もあります。その一方で、「買い物」を目的に日本を訪れる観光客も多いために、旅行社はこれらへの対応が急務となっています。安いパッケージの販売を中止、免税店への案内を取り止める日系の旅行社も存在し、ガイドへの徹底も大きな問題となっているようです。
 いずれにしても、施行されたばかりの法律を受けた旅行各社それぞれの対応、そして中国人観光客の動向について、注視していく必要があるでしょう。


 
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