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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


「上海国際キッズ・ベビー・マタニティ産業展」と
チャイルドシート普及に関して


先般、中国上海で、「第13回上海国際キッズ・ベビー・マタニティ産業展(CBME2013)」が開催されました。同展示会は上海国際博覧センターの広大な会場で毎年開催されている、キッズ・ベビー・マタニティ製品関連の中国最大級の国際展示会です。出展企業は1400社以上、来場者はメーカーや販売代理店、小売業者など、世界中から6万人以上が集まります。

 中国のベビー・子供用品市場は近年、成長産業として注目を集めており、高出生率に支えられ、この活況は今後も続くと予想されています。また、よく言われるように、中国の家庭では大人6人(一人っ子同士の両親とその祖父母)が子供1人の面倒を見るという状況が多く、子供に惜しみなくお金をかけたい、という傾向が強いようです。

 今回の展示会でも、出展企業数の多さや出展各社のブース装飾の豪華さなどから、業界の活況ぶりと今後の市場への期待感が伝わってくるようでした。

 出展商品の範囲は幅広く、アパレル、哺乳びん・授乳用品・食器、粉ミルク、食品、健康補助食品、沐浴・衛生用品、各種玩具、ベビーカー、チャイルドシート、家具等がありました。
 「国際展示エリア」と名付けられた一画には、オーストラリア、台湾、韓国、スペイン、アメリカの国別エリアが設置されていましたが、その他にも、ドイツやニュージーランド、イタリア、フランスの企業の出展も見られ、日本企業では、タカタ(チャイルドシート)、カーメイト(AILEBEBEブランド・チャイルドシート)、チュチュベビー(マタニティ用品)等の出展が見られました。

 出展品のPRポイントとしては、「安全、エコ、自然、キャラクターグッズ(ディズニー、喜羊羊与灰太狼(シーヤンヤンとホイタイラン)、機関車トーマス、ドラえもん、ウルトラマン、キティ)、子供や母親向けのお洒落、便利、ギフト用品」といったものが想定されていたように思います。

 ところで今回、上記数々の出展商品の中でも特に目を引いたのは各国メーカーが大型出展していた「チャイルドシート」でした。

 中国では現状、チャイルドシートの着用は義務付けられていません。

 2012年7月には中国で初めて児童の乗車安全について触れた強制的国家基準である「機動車児童乗員用約束系統 (自動車児童乗員用拘束システム)」が施行されました。
この基準はEUの規格に沿って制定されており、「チャイルドシートに関する技術的要求」や「自動車にチャイルドシート専用の取付け装置を装備すること」等を義務付けていますが、チャイルドシートの着用そのものを義務付けるものではありません。

 同基準の施行から1年を経た現在ですが、チャイルドシートは一向に普及していません。今年上半期に中国社会科学院が発表した「中国自動車社会白書」によると、中国国内の75.66%の自動車でチャイルドシートを取り付けておらず、39.95%の親は子供を助手席に座らせ、43.12%の親は子供を抱いて乗車するという方法を採っているとのことです。

 中国自動車技術研究センターの研究者は、チャイルドシートの使用は自動車の衝突事故において児童の死亡率を71%も下げることができるが、中国国内のチャイルドシートの使用率は現在のところ1%にも満たない、と述べています。

 子供を持つ親の声としては、「チャイルドシートを設置すると車内が狭くなる」「子供の成長に合わせて買い替えねばならず、費用が高い」「安いものでは安全性に不安」「子供が座りたがらない」といったものがあり、チャイルドシート着用の必要性に対する理解はまだまだ進んでいないようです。

 着用を義務付ける法規制の整備とともに、消費者の意識を高めることが今後の課題といえそうですが、今回の展示会での出展各社の攻勢と来場者の反応を見る限り、チャイルドシート普及への変化は、もうすでに始まっているように感じられました。



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