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  ■中国市場への視点 (株)チャイナワーク


中国で史上最悪の就職難

 上海市統計局の調査によると、2013年に卒業した大学生などの未就職率は、5月時点でこの3年間で最も高い4割近くに達しました。中国全土でも、今年は大学卒業者数が過去最高の699万人に達し、「史上最悪の就職難」に直面していると言われています。この大学卒業者数は、今後5年も700万人前後と見込まれ、また、中国の生産年齢人口(20〜59歳)は、2020年にピークに達し、8億3,100万人になると見込まれています。このことから、中国は今後しばらく、就職者数の増加という巨大な圧力に直面しなればならないことを示しています。
 この「史上最悪の就職難」の深刻さは、「人民日報」のウェブ版「人民網」にも特集が組まれるほどになっています。そこでは、就職難をもたらす要因として、以下6つのポイントが挙げられています。

1.国内外の経済情勢の変動 中国の2013年の国内総生産(GDP)成長率目標は7.5%に据え置かれ、就業ポストと卒業生の需給アンバランス状態が際立っている。

2.大学卒業者過去最多 今年、中国全土で普通大学を卒業する学生の数は、前年比19万人増の699万人に達し、新中国設立以来、大学卒業者数の最多記録を更新した。

3.求人需要と大学卒業者のマッチング度が低い 大学卒業者の求人需要は、最先端分野または都市・農村基底層の公共サービス分野の2つに集中しているが、大学卒業者の就職先希望は前述の分野に向いていない。

4.就職における様々な差別  「35歳未満」、「現地戸籍保有者のみ」といったさまざまな「中国式雇用差別」に対して、卒業生は無力感を抱いている。

5.海外留学帰国者の増加 海外留学を経て帰国した中国人の総数は、2012年末までに109万人に達した。過去5年間の帰国者数は80万人あまりで、その前の30年間の3倍近くに達する。

6.就職難時代に不平等な現象が存在 党体制部門で職を得るためには、「親の七光り」が必要不可欠だという。卒業生や親の立場からすると、このような風潮は日常茶飯に見られ、ほぼ全ての卒業生は、自分自身、クラスメート、友人、知人、親戚の具体的事例を見聞きした経験があるようだ。
(出所:人民網日本語版「史上最悪の就職難に直面する中国」)

 今年4月の国務院常務会議で李克強総理は、「大学卒業者など重点層の就職に関する取り組みをしっかりと行い、複数のルートで雇用を拡大し、就職を支援し、住民所得を増やす」という重点政策を打ち出しました。教育部でも求人募集で差別を厳禁するなど対策を取っています。しかし、「面接のダブルブッキング」や「待遇が悪い」など様々な理由で面接をすっぽかす新卒生も増加しており、学生自身に、仕事に対する関心の欠如が見られることも就職難を引き起こしているという見方もあります。
 また、成長が著しいインターネット産業やサービス業を中心とする第三次産業の発展に力を注ぎ、雇用機会を創出することによって、就職問題の解決糸口が見えてくる、という見方もありますが、前述3に見られるミスマッチや過去最多の新卒生に加えて既卒生も合わせた求職者の増加によって、今後ますます大学卒業者の就職は多難を迎えることとなるでしょう。


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