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 中国オフショア開発の失敗と成功
                         株式会社アイティ・フォレスト  代表取締役社長 恒吉 順二


第1回 「 中国オフショア開発への取り組みと、教訓」

  

 オフショア開発がトレンドとなる中で、中国オフショア開発に関して、少なからず否定的な投稿をメディア等で見かけることがあります。この度は、株式会社チャイナワーク様のご協力により、一般論ではなく、私たち株式会社アイティ・フォレストの8年余におよぶ日中共同ソフトウェア開発の実践から得られた教訓を交えながら、中国オフショア開発について、6回のシリーズで、論じてみたいと考えます。
 第1回目としては、「中国オフショア開発への取り組みと、教訓」をご紹介します。
 

アイティ・フォレストとは

1997年に設立。JavaテクノロジーによるWebアプリケーション開発に注力してきた中堅SIベンダーです。
また、いち早く、中国人技術者のポテンシャルを理解し、志を同じくする中国人技術者と共同で、1999年、中国南京市に開発センター(中国南京潤和信息系統有限公司)を設立。
当初4名でスタートした開発センターが、今では、160名を越える技術者を擁し、日中共同での大規模システム開発に取り組んでいます。

■ アイティ・フォレストが、中国に開発センターを設立した目的

・短中期戦略:優秀な技術者の確保
・中長期戦略:中国を中心としたアジアグローバル市場に対するマーケテイング拠点確立

■ 業務系アプリケーション開発への挑戦

中国人技術者は、チームでの開発よりも、自己完結型の開発が向いていると言われてきました。しかしながら、私たちは、マネージメントに工夫をすることで、日本固有の業務系システムの開発においても十分に中国人技術者の能力を活かせると判断し、あえて、業務系システムの中国オフショア開発を推進して参りました。当然ながら、新たな問題等も発生しましたが、プロセス改善も含めた次のような取り組み等により、今では、確固たるオフショア開発体制を実現しています。
1)開発チームの編成と日中両チーム間の指示系統の見直し(ダブルピラミッド)
2)方式理解という新たなプロセスを含むレビューポイントの見直し
3)品質を確保するための、内部設計への中国オフショア技術者の投入
4)オフショア開発プロセスフローの確立と開発ドキュメントの標準化

さらに、テレビ会議システムの導入はもとより、両チームの技術者がプロジェクトに関するすべての情報を共有できる開発基盤として、QAMS(Quality Assurance Management System )を構築しました。

■ バッチ処理系の開発への取り組み

バッチ処理系の開発への取り組み
中国では、画面系中心のオープンシステム(Java,VB,VC++,C ,etc.)の技術者が大半で、私たちの中国開発センターでも、日本固有の帳票処理や、言語形態としてのCOBOL等に代表されるバッチ処理の概念を理解し、経験している技術者は、非常に少ない環境でした。
私たちは、バッチ処理(COBOL)を含む開発案件(200人月以上)を受託した際に、オフショア開発の可能性に関して議論を重ね、先行して取組むという方針決定を行いました。
次のような問題点に直面しつつも、それらを乗り越えて、開発は完了しました。
1)バッチ処理の考え方が理解できない
2)仕様書だけの記述では、バッチ処理の流れをイメージできない
3)画面系開発と比べて、開発の楽しさが少ない

初めての取り組みということで、開発プロジェクトとしては苦労の連続でしたが、工夫を重ねることで、今後に向けたバッチ処理系の開発ノウハウを得ることができました。
しかしながら、初期開発というリスクもあり、採算としては、想定以上の工数超過となってしまいました。

■ 開発ツールの内製化

オフショア開発を成功させるために最も重要なことは、出荷品質の確保であると考えています。製造工程を中国に委託して開発コストを抑えたとしても、品質が悪ければ、結果として日本側でその修正を余儀なくされるケースがほとんどです。これでは、コスト削減どころではありません。
品質確保及び生産性の向上を図るための方策について議論する中で、私たちは、実際の開発に即した実用的な開発支援ツールの必要性を認識しました。
まずは、Javaアプリケーションに的を絞り、Jakarta StrutsをベースとしたWebアプリケーション開発支援ツールの内製化により、開発者、開発環境の違いで発生する品質のばらつきを抑えるだけでなく、併せて、開発の生産性を高めることにも成功しました。
オフショア開発技術者は製造(コーディング)の下請けではなく開発プロジェクトの重要な一員だという共通認識、日中両国技術者の真の協力体制が、開発支援ツールとして実を結んだのです。

次回以降では、そういったハードルをどうクリアーしてきたかに関して、順を追って詳しく説明していきたいと思います。また、中国オフショア開発を通して得られたプラスの部分に関しても取り上げながら、将来目指すべき新たなオフショア開発モデルについても、考えていきたいと思います。
次回は、「実践で得られた教訓(1) ダブルピラミッドによる指示系統」と題して、私たちが得た教訓をもう少し具体的にご紹介する予定です。
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今後の予定
第2回 中国オフショア開発 失敗と成功
実践で得られた教訓(1) ダブルピラミッドによる指示系統

第3回 中国オフショア開発 失敗と成功
実践で得られた教訓(2)詳細設計へのオフショア技術者の投入

第4回 中国オフショア開発 失敗と成功
実践で得られた教訓(3) 中国オフショア開発に向いた開発案件とは
組み込み型 or 基幹系 or 情報系 ? オンライン系 or バッチ系 ?

第5回 中国オフショア開発 失敗と成功
実践で得られた教訓(4) オフショア開発でなければ成功した ?

第6回 中国オフショア開発 失敗と成功
アイティ・フォレストの考える新たなオフショア開発モデル  F-Style とは
 

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