環境保護規制への対応が中国ビジネスの成否を決める!

中国環境保護法令・基準集

中国進出企業経営責任者、法務担当者、環境技術者必携!
日本語で中国の環境保護規制の全貌がわかる!


まえがき
 

  中国は今や世界の工場ともまで言われ、中国に工場を持つ日本の製造企業も今や数千もの単位に上り、日本経済にとっては、米国と並ぶ最重要国となった。
  また、同時に世界規模での環境問題に対する危機感の高まりは、すでに大きな潮流となり、中国もその蚊帳の外にいることが許されるような状況ではありえないばかりか、すでにその中心的存在の一つといっても過言ではない。
  事実、中国の環境問題について新聞やニュースなどで報道されない日がないほどで、その内容は、改めて説明するまでもないことであろう。
  そのような情勢の中、中国に工場進出する日本企業にとっても、現地での環境に対する行動責任はますます重くなることは必然であり、このことは、誰も否定することはできないであろう。
  今回、中国に製造拠点を持つ多くの日本企業をはじめ、それを支援する建設業界、銀行業界、プラント・設備メーカー、商社の方々、中国での環境ビジネスを展開する方々、国内で中国の環境問題を研究されている政府機関、大学等方々などに役立てていただくべく、中国の環境規制に関する法令、基準を日本語にしてまとめ、発刊させていただいた次第である。
  内容は、法律、環境基準、排出基準等であり、言うならば企業として最低限果たさなければならない法的に強制力のある事項を中心としたものである。近年の環境問題とは、二酸化炭素など温暖化ガスの排出削減など、いわゆる公害と呼ばれる地域的な環境問題から地球規模への問題へと大きく拡大している。温暖化対策等については、中国政府も様々な指針、政策を発表しているものの、その多くは未だ強制力のある法律や基準の制定までには至っておらず、また本書でも多くは取上げていない。
  したがって、本書で取り上げるのは、大気汚染・水質汚染・廃棄物など地域的な環境問題すなわち公害を中心としたものである。この点においては、過去に日本も辿った道であり、そういう意味でも日本企業には中国においての模範的かつ先導的存在であってほしいと願っている。ここ数年、筆者も日本企業の工場進出における建設プロジェクトのお手伝いなるものをさせていただいているが、事業主である日本の親企業の環境意識は非常に高く、また環境を担当される各個人の方々の技術面的知識、見識も高く、中国企業のそれとは相当な開きがある。
  ただ、よく見られる問題として環境そのものに関する道徳観、技術的知識、見識は高いものの、中国固有の事情をあまり理解されておらず、それが原因で許認可上の問題や業務の不効率を招いているケースが数多く見られる。極端なケースではあるが、「中国の環境基準は日本より緩いので、日本と同じことをしていれば、何ら問題はないはずである。」と勝手に判断し、結果としてそれが問題を引き起こしてしまう企業もないとは言えない。確かに、そのような面があることも事実であるが、中には日本よりも厳しい基準が要求される項目もあり、かつ許認可のための申請手続きの手順や申請する内容などの規定は、日本とは大きく異なる。したがって、実際には日本の工場と同等あるいはそれ以上の環境対応をしているにも関わらず、許認可上問題が発生してしまうという皮肉な結果に至りかねない。
  この問題を解決するためには、日本企業の環境を担当する方々が、中国の環境法律、排出基準、許認可手順、規定を正しく理解することが非常に重要である。
  もちろん、真摯な日本企業の方々は、中国で環境対応を進めていく業務の中で、政府環境保護局や環境影響評価機関あるいは合弁相手などから、情報を得たりしてそれらを理解しようと努力されている。しかし、大抵の情報は断片的であり、また通訳を介すため、全貌を理解するのは、まず不可能で一つ問題を解決してもまた違う問題が出てくるというのが、お決まりのパターンである。このことは、環境に限らず中国で仕事をしたことのある人なら大抵は理解していただけるものと確信している。
  以上が今回、本書を発刊するに至った背景と目的である。今までは、中国の環境法律を調べようにも、中国語の原文を必要に応じて断片的に見るしか方法がなく、また中国語で書いてあるので、通訳を使うにしても、そう簡単に理解できるものではなかった。
  本書では、製造業にとって優先順位の高い41件の法律、基準を抜粋し、日本語に翻訳して一冊の本としてまとめ、専門技術用語の多い数多くの排出基準類や環境影響評価の具体的作成例を重点に掲載しているので、環境技術者の実務においても、使いやすいものであると確信している。
  本書が日本企業の環境イメージアップや業務の効率化、ひいては中国の環境改善に少しでも寄与できれば幸いである。

平成20年4月
著者 小出直也
 

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