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 中国投資・会社設立
ガイドブック


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はじめに


 21世紀初年に中国はWTOに正式加盟した。これを大きな契機として中国は世界と正式に「軌道を接続し」、世界の貿易ルールを守り、世界に対する門戸を更に大きく開いて、透明な経済政策を運営していくという世界公約を今世紀から実行に移していくことになった。したがって今後の中国は、これからさらに激しい変化のダイナミズム、パラダイム・シフトへと突き進んでいくことになる。
現代中国が当面抱えている大きな変化要因は以下の三点に要約できるだろう。

@台湾問題
A人口問題と農業問題
B非国有部門システムと市場ルールの確立

 広い大陸国土、世界一の人口、文明発祥の悠久の歴史を持つ中国はまだまだ多くの政治、経済、社会の課題を抱えた建設途上の道のりにある。都市と農村、沿海部と内陸部、国有部門と私営部門の広がる格差。急激な国有部門改革にともなって急増する失業者、流浪農民と悪化する社会治安、公衆道徳。一人っ子政策にもかかわらず急増する国民人口と社会の高齢化。巨大資産を抱えたまま衰退する国有経済と爆発的に伸びている小規模私営経済。「三箇代表」という党の新理念をめぐりぶつかりあう党内各派。世代交代を迎え続々と登場する革命を知らない若い官僚世代たち。WTO加盟とともに滅び行く旧システム。…今世紀、中国政府指導部はまさに真の指導力を問われる世紀を迎えたと言えよう。

 かたや日本においても21世紀の課題は多い。

@少子化高齢化社会の到来
A省資源型・環境保全型新技術、新素材、新エネルギーの開発
B国際貢献のあり方、対米中関係の今後

 つまり、中国にとっては国土の統一と「食べていくための」高度経済成長の維持、計画経済体制から市場経済体制への移行、WTO加盟にともなう本格的国際化に向けた構造改革が依然として大きな国家課題であるのに対して、日本にとっては高度経済成長後の実り豊かな少子化高齢化社会へと移行するための構造改革と戦後国際政治体制の完全な清算が21世紀の課題であるといっていいだろう。一見、日本と中国が抱える課題はまったく対照的なように見えるが、実は隣国であるだけに、非常に密接に関連している。

 今世紀、両国は自分が抱えるこれらの課題を順当に解決していくために、どんな相互協力できるかを考えなければいけない。それは20世紀末から21世紀初頭の現代において日中間で進行しつつある、労働集約的技術そして日本が得意とする低公害の量産技術を中国にアウトソーシングしていく点にあるのかもしれない。同時に1、400兆円とも言われるわが国金融資産の有効な資金投資と運用の場としての中国ビジネスの成長ダイナミズムも考えられよう。中国側にとっても、輸出産業の育成、雇用創出、国民生活の安定向上などの面で日本との経済交流を深める意義は大きいはずだ。
すでに日本は中国にとって最大の輸出相手国となっているが、米国にとって貿易赤字最大相手国も今や日本ではなく中国となっている。従来の日本の対米赤字問題という単純な構図はすでに「日米中の三国関係」へとシフトしているのである。

 本書は、そのような21世紀の日中両国の経済協力と交流の課題を見据え、中国ビジネスに従事する全ての日本人、日本企業に捧げる目的で編纂されたビジネステキストである。日本人執筆者は全員、中国ビジネスの法務、進出、撤退、物流、金融、税務、貿易、経営などの各業界で20年近い中国ビジネス経験を有するベテラン専門家ばかりであり、しかも全員がいまだに最前線の現役である。それぞれが執筆を担当した内容はいずれも長年の豊富な経験と深い洞察力に裏打ちされたものばかりであり、変化のダイナミズムの真っ只中にある中国を静態的観察の誤謬に陥ることなくしっかりと見据え、20世紀におけるみずからの経験と教訓を濃縮し、整理体系化しなおしたものである。本書は初めて中国ビジネスに乗り出そうとする方々だけでなく、すでに中国で幅広く事業展開しておられる多くの日本企業にとっても、幅広く役立つ必携の書となることと信じている。

  本書冒頭には、中国の最高学府である北京大学法学部の長老教授であり、過去、同大学法学部長等を歴任された中国法曹界の重鎮である周俊業教授から「日本の友人達へのアドバイス」として法務関係の特別寄稿を頂き、同時にご好意により本書の題字揮毫も頂いた。執筆陣としては過分な光栄であり、心から周教授に御礼申し上げたい。また、本書編纂の趣旨に深いご理解をいただき、本書の出版を快諾いただいた明日香出版社の石野社長、編集に携わってくださった藤田知子さんに、執筆者を代表して、この場を借りて改めて感謝の意を表明したい。

平成16年初春

                      著者を代表して   筧 武雄

 


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