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 中国投資マーケティング
戦略マップ

進出に不可欠なロケーション戦略構築に

 

本書の狙いと構成


 本書は、日本企業が中国へ進出、あるいは現地で事業展開する際のロケーション分析に役立てていただくために制作された。その骨子は、中国ロケーション分析に必要な基本状況の提供であり、経済圏別にみたビジネス上の重要拠点、物流拠点 、物流状況の把握、欧米系を含めた有力企業のロケーション戦略ケーススタディ、政策面からみた地域戦略などから構成されている。
 この骨子を基本におき、データや解説を整理した上で中国マップ上に反映させていった。ただし、現在のように急激な変化が起きている中国についてビジネスに役立つマップを作ろうとした場合、現状が認識できるだけでは不十分であり、将来の変化を先取りした戦略マップを作成する必要があった。そのために現在進行中ないしは構想の段階にある国や地方政府のプランをできる限り反映させるという試みを行っている。

  第1章では、中国全体を視野に入れた分析や解説を行っている。中国政府の定めた開放政策上の拠点を明らかにするとともに、最近注目されているR&D(研究開発)センター設立の地域選定に必要なデータや分析を掲載した。また、中国物流のプロである元三井物産の白土茂雄氏による物流上の戦略策定のための解説、さらにこれから展開される中央政府の国家プロジェクトもマップ上に反映させながら解説をしている。
 第2章では、中国を5つの経済圏に分類、その特徴を整理して、地域別のマップで中国ビジネス上の重要拠点や各開発区を要点とともに反映させた。物流拠点では前出の白土氏より具体的なコストなど貴重なデータを掲載していただいている。
 第3章では、今注目されている有力企業のロケーション戦略のケーススタディをまとめた。とくに今回取り上げたノキア、モトローラ、ダノン、P&G、カルフール、サムスンなどの戦略は、これまで表に出てこなかったものであり、貴重な資料となるはずである。
 第4章では、中国の政策に精通している筧武雄氏によるロケーション戦略を政策の側面からアプローチする試みである。こうした分析もこれまでになかった視点ではないかと思う。

  以上の構成の上に、中国地図出版社から提供された精度の高い中国縮尺地図を掲載し、白地図では表現不可能なリアリティを持たせた。日本人が中国を理解しにくい一因に、中国の平面的な白地図しか見ていない点が挙げられる。中国の複雑な地形と自然環境を再認識していただきたい。著者がオリジナルで制作した概略マップも、正確な地図との対比により、より的確なロケーション状況を把握できるかと思う。

 本書はもともと、筆者とソフト開発力で知られる北京卓絶創新の于波氏で中国のデジタル地図を世に出そうと打ち合わせしてきた内容が原型となっている。北京卓絶創新が機能の充実した中国デジタル地図の日本語版を制作し、チャイナワークが日本での販売に協力するという計画で、この件に関する于波氏との打ち合わせは1年ほどにわたり、電子メール数百通に及んでいるかと思う。その過程で、付加価値の高い中国ビジネス戦略用のものが作成できないかと、「中国投資マーケティング戦略マップ」として昨年の秋ごろ企画した。本書タイトルではその時の名称をそのまま使用している。

 以上の経緯から、本書では中国地図出版社の精度の高い中国地図を掲載することが可能となったが、おそらく中国ビジネス書で実際の縮尺地図がこれほどふんだんに掲載されたのは初めてのことであろう。于波氏の協力なしには実現しえなかった快挙である。また、この度の地図提供の申し出に快く応じてくださった中国地図出版社の関係者の方々にも、この場を借りて、改めて感謝の意を表明したい。まだ詳細を詰めている最中であるが、戦略マップデジタル版についても、本書の出版をきっかけに明日香出版社殿に協力いただける方向であり、こちらも楽しみにしていただきたい。

 また、本書の著者は全員が、今年2月にやはり明日香出版社から出版された「中国投資・会社設立ガイドブック」の著者でもある。いわば兄貴分にあたる同書が8月の時点で、中国ビジネスの実務書としては異例の重版6刷を数える好調な売れ行きをみせており、その実績が本書の実現に大きく影響しているといってよいであろう。その意味で、同ガイドブックの他の著者にもお礼を申し上げたい。8月には中国ビジネス書のシリーズとして、「中国進出失敗・トラブル事例集」も発売された。本書はシリーズ3冊目にあたる事になる。
 そして、日常業務の忙しい中、同書の資料作成や地図作成ではチャイナワーク・スタッフの鈴木なおみ、郝麗敏、孫虹華にも多大な労をかけた。
 また、本書の制作について理解を示し、暖かく見守ってくださった明日香出版社の石野社長、常に執筆者に叱咤とアドバイスを続け、本書の完成に力を尽くしてくれた藤田知子さんに、執筆者を代表して心より謝辞の意を表したいと思う。

2002年9月1日
                           (株)チャイナワーク  遠藤 誠
 


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